チェルシー 八角皿(1752年-58年頃)
A Chelsea Octagonal Plate C.1752-1758
チェルシー(レッド・アンカー期)の八角形の深皿。皿の中央は丸く窪んでおり、スープ皿だと思われる。八角形の縁から5mmのところに突起状の段がある。(チェルシー(CH9)を参照。)
多色エナメル(金彩は用いられていない)で描かれている図柄は、柿右衛門風の柴垣に花鳥を描いたものである。ロボットの腕のようにカクカクと伸びた枝も特異だが、飛翔する鳥(鳳凰なのだろうが)も変っている(下記Mckennaの本には、'an extremely improbable-looking bird(全く在りえない姿の鳥)'とまで書かれている)。縁部分にも小花や蝶が描かれている。縁どりとして茶色で線が引かれている。マイセンに同様の図柄があり、チェルシー作品はマイセン経由で写されたものではないかと思う。
裏面には、高台内に焼成時についた3つの目痕があり、また高台付近に小さな赤い錨のマーク(長さ4mm)が書き込まれている。高台の一部が傾き調整のために挽き切られているが、本品の場合はさらに裏面中央部分にも挽いた茶色い丸い痕がある。焼成中に底部が垂れ下がってしまったのであろう。それでもまだ底部が低すぎ、本品は平らな場所に置いても安定しない。
強い光にかざすと、チェルシー作品の特徴の一つである、ムーン(moon)と呼ばれる、素地内の小さな気泡がいくつも見られる(最後の写真を参照)。
直径(対角線上)/Diagonal Diameter: 26cm
マーク:赤い錨
Marks:a red anchor
参照文献/References:
-F. Severne Mackenna "Chelsea Porcelain The Red Anchor Wares" figs.5, 6 & 8
-John C. Austin "Chelsea Porcelain at Williamsburg" Items 45 & 46
-Robert E. Rontgen "The Book of Meissen (second edition)" Fig.299 and p.197
-Maureen Cassidy-Geiger "The Arnhold Collection of Meissen Porcelain 1710-50" Item 240
-展覧会カタログ「開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生」 図版53
-V&A Museum Website:
http://collections.vam.ac.uk/item/O279016/plate-chelsea-porcelain-factory/
(2020年6月掲載)